普通の店

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その奇妙な店は、ただの普通の店だった。 いや、小洒落た隠れ家的カフェとでも言うべきか。最寄り駅から歩いて20分、大通りからひとつ道をはずした裏通り。立ち並ぶビルのうち、一番小さいビルの一階。両隣のビルにぎゅうぎゅうに挟まれて縮んでいるんじゃないかと思うぐらい小じんまりとしている。 外からだと店内は暗くて営業しているのかもよく分からない。僕は入るかどうか一瞬ためらったが 若い頃の好奇心をふいに思い出した。この店を知るきっかけとなった高校の時。 僕は筆記体のアルファベットで書かれた、ドア横の店の看板を一瞥して、中に入った。
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