普通の店

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大不正解だ。 かすってもいない。 ひょっとしたら中は違うかもしれない、一見普通のカフェを演じているのかもしれない。期待してろよ! と、思いながら穏やかな木製の緑のドアを開けたが、期待はあっさり裏切られたのだ。兄貴め。 やっぱり、普通のカフェ。思っていた以上に中は暗いがろうそくの灯りが点々と置かれ、程よいムードを作り出していた。全体がどうなっているかがわかる明るさであるので、僕は店内を見回した。カウンター席とテーブル席が2,3席、既に何人か客がいる。 店の中はどこか外国の森を思わせる作りになっている気がした。壁にかかっているのは大きな羽のついた帽子、西洋の兵士が使いそうな作り物の剣、葉っぱついたつる草の鞭、ロープ。グリム童話の舞台である、闇を感じさせる森に似ている。必ずなにか事件が起こる森。決して詳しい訳ではないが。
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