普通の店

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「あの…」 いつの間にか僕の目の前で、女性が数センチ高い目線から不思議そうに僕を見下ろしていた。僕は驚いて一瞬飛び上がりそうになった。 僕を見下ろす彼女の黒々とした瞳に、驚きを隠しきれていないひきつった顔をした僕がいた。 「は、は、はいなんでしょう?」 僕は衝撃が収まらないせいなのか、それとも173センチ身長があるのにきれいな女性に見下ろされていることからくるのか、なんだかよくわからず、かしこまって返事をしてしまった。 「あ、良かったー。いくら話しかけても固まってたので。てっきり日本語じゃだめなのかと思っちゃいました。」 彼女は眼を細めて笑った。小さな小鳥が気持ちよくさえずっているかのように、聴き心地の良い声だ。
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