普通の店

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カップにコーヒーを注ぐ真剣な顔つき、薄暗闇の中で浮かび上がる茶髪の髪、動く度に右へ左へ揺れるうなじあたりで束ねられた髪の房。僕は僕を意識せず僕のためにショコラ・ラテを淹れる小鳥さんを感覚を研ぎ澄まして感じていた。 しかし、一生懸命それをつくる彼女に話しかけられる雰囲気ではないので、僕はあらためて店内を見回した。店内の至るところに置かれた燭台付きの大きなろうそく、これらが店内の落ち着いた雰囲気を作り出していた。ちなみに僕の目の前に一本、角に一本ずつ、入口側のカウンターの古風なレジスター横に一本といったところだ。
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