第3章

10/17
前へ
/17ページ
次へ
いきなり唇が開放されて、 知らず上がった声がまるで自分のものではないようで。 思わず手の甲で口を覆った。 「……感じます?」 「――ッア」 離された唇が、 今度は胸に落とされて。 固くしこってきたそこに歯を立てられる。 下肢の間に蟠ってくる熱に気がついて狼狽した。 ……それに気づいたのだろう。 彼が微かに笑っ た気配に、 かっと顔が熱くなる。 嫌悪を感じてもいいはずだった……同性に組み敷かれて、 いいように嬲られて。 彼の指や唇が引き起こすものは、 悪寒であっていいはずだった。 ――なのに、 身体に満ちてくるのは、 確かな熱。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加