第3章

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自分がどうしてしまったのか分からない。 どうしたらいいのか、 どうしたいのかも分からなか った。 奔流に呑まれまいと、 ただ目の前の身体に縋った。 ……熱い滾りに投げ込んだのは、 当のその男なのに。 だから含みこまれるまで、 着衣を剥がれたことにも気づかなかった。 乾いた感触の髪がぱさりと腹を打ったと思うと、 ぬるりと熱いものに自身が包み込まれた。 それが彼の口腔であることに気づいた途端、 思考が飛んだ。 唇から悲鳴めいた声が漏れる。 羞恥と混乱と、 間違えようのない確かな快感。 それらがせめぎあって何も考えられなくなった。 俺を包み込んだ熱い粘膜が、 きつく締めつけてくる。 緩急を心得たその動きに翻弄された。
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