小さな手紙

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たった一行、中央に書かれた文字。 さっきまで抑えていたものが、頬を伝う。 両肘をテーブルにつけ、思わず両手で顔を覆った。 角の丸い筆跡の彼女の言葉は、俺を一気に弱らせる威力を持っていた。 キッチンから出てきた彼女は、ズルズルとみっともなく鼻をすすって泣く俺の前に、今度は封筒ではなくおにぎりが4個乗った皿を置いた。 「小腹が空いちゃった。もし、食べたければあなたもどうぞ」 海苔も巻かれていない真っ白の塩むすびを一つ取り、彼女は頬張った。 俺も彼女にならい、一つ取った。 頬張ると、固めに炊かれた米が口の中でホロリとほぐれ、ちょっと強めの塩加減が米の甘さを引き立てて疲れた体に染みていく。 「……旨い」 それから二人とも、食べ終えるまで黙って食べた。 1人で食べてた弁当はなんの味もしなかったのに、彼女の握ってくれた塩むすびは旨く思えた。
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