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不可解なのが、二度目に訪れようとした者が相次いで『ヘブンズドア』にたどり着けなかったのだ。
細い小道にひっそりと佇む飲食店。
看板は申し訳程度の存在感しかなく見つけづらくはあったがそれでも一度来た店なのだからたどり着けない筈はない。
そうして次に考えるのが店を別の場所に移したか、という事だ。
だから皆、豊富な資金を使って店を探させた。だが見つからない。
そうして足踏みする時間が募る一方で飢えた者たちは心を掻き乱され、遂には精神不安にまで陥る。
その結果が自殺だ。
それもあってその店はまさしく天国の扉。一度食べた者はその美味を求めて天国にまで足を踏み込んでしまう。
今でもその店はあるという。
時折耳にする『ヘブンズドア』という店名。一体どこに店を構え、どんな料理を提供するのかは分からない。足を運んだ者にしか。
囁かれるのは、厨房には死神があの世の食材を使って調理しているなどと囁かれる事も。
それがただの虚言と言えないのがその店の怖さである。
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