母のカレーライス

2/5
前へ
/22ページ
次へ
世に、母と呼ばれる人は星の数ほどにいるだろう。 何を隠そう、勿論の事ながら、この私にも母が居る。 否、「居る」のではなく「居た」のだ。 我が母親ながら、この母、料理がとても上手い人だった。 しかしである。 諸氏も記憶にはないだろうか。 どんなに完璧な母と言えども、諸氏が母と暮らした年月の中には、それこそ、星一徹ばりの怒りを露わに、ちゃぶ台をひっくり返してやろうかと思う程、不味いおかずが出た記憶が。 私の母が作る、カレーライス これが、本当に、本当に、 「殺意を覚える程に、不味いのである」 間違えないで頂きたい。 「不味い」 ではなく、 「殺意を覚える程、不味い」 のである。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

65人が本棚に入れています
本棚に追加