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高広とあたしが店から出ると雨が降っていた。
「あー、傘ないわ。俺車持ってくるから待ってて。」
「え、いいよ。あたしも走るよ。」
「濡れるよ。待ってなよ。」
「大丈夫!行こう!」
あたしは走り出した。
高広も最初はびっくりした顔をしてたが笑顔で走り出した。
「はぁっ、はぁっ、。」
「高広、本気出さないでよ~!」
「あー、食ったばっかりだから腹いてぇ。」
「大丈夫?」
「うん、早く乗ろう。鍵開いてるよ。」
ガチャ、バン!
「あー、びしょびしょ。」
「タオル、後ろの座席にあるからとって使って。」
あたしは後ろの座席に手を伸ばした。
(あった!)
タオルを掴んで助手席に姿勢を戻すと高広がこっちをジッと見ていた。
ドキッ
「な、なに?どーしたの?」
「いや・・・」
高広は慌てて視線を前にした。
「やだ、高広もびしょびしょじゃん。髪から雫垂れてる。」
タオルを高広の頭にあてた。
高広はうつむいてた。
(あれ、まさか照れてる?)
「・・・・・・・」
沈黙の中、あたしは頭を拭きはじめた。
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