高広の夜の顔

2/6

34人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
大輝を起こさないように家を出て恵比寿に向かった。 お気に入りのワンピース着てきちゃった。 びっくりするかな。 一回連れて行ってもらっておいてよかった。 1時間ほどで高広のバイト先が入ってるビルの前に着いた。 ~♪~♪ カバンの中の携帯が鳴った。 うそ、大輝・・・。 起きちゃったんだ。 でもここまできちゃったし。帰れない。 そうだ。高広・・・いないかもしれない。 うちのアパートきたの19時くらいだったから今日休んだのかも。 あのあと真理とモメテルとか。 電話してから行こうかな。 いや、でもびっくりさせたいし。 覗くだけ・・・。 あたしは店のドアを開けた。 「やだー、高広くんたら。」 黄色いキャピキャピした高い声が聞こえてきた。 カウンターの奥で二人の若い女が高広と嬉しそうに話している。 「いらっしゃいませ。お一人様ですか?」 「あ、あの一人なんですけどあそこのテーブルいいですか?」 あたしは入ってすぐ声をかけてきたボーイに小声で言った。 「は、はぁ。どうぞ。」 あたしはカウンターから少し影になるテーブルに隠れた。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

34人が本棚に入れています
本棚に追加