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「あたし帰るよ。高広、夜バーテンダーの仕事でしょ?」
あたしはゆっくり立ち上がってバスローブを羽織った。
「え!俺、休むよ。どうせ臨時だし。今日はメグといたい。」
高広が慌ててミネラルウォーターを片手にキッチンから戻ってきた。
「だめだよ、臨時だろうと仕事はちゃんとして。高広のバーテンダー姿、カッコイイからあたし好きだよ。」
高広は頭をポリポリとかきながら照れくさそうにした。
送っていくよ。という高広の言葉を断ってあたしはマンションを後にした。
帰り道、さっきの罪悪感とは違う感情が芽生えていた。
毎日、自分のアパートの郵便受けを何度見たことだろう。
ニューヨークに行ったきり連絡がない大輝を待つことにもいい加減疲れたのは確かで
高広がもし彼女と別れたらあたしも大輝に別れを言おうという気持ちだ。
だけどそういう時に限って
神様は迷いを与える。
半年も連絡もなかった大輝から
その夜、連絡がきた。
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