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「こんにちは、愛くん。よく来たね。今月はどうだった?」
「特に何も」
僕はこの日、何か月かに一度の治療のために通院している大学病院へいつものようにやってきていた。
担当医が高校一年生の夏に変わって、それから約一年の付き合いになる滝本先生は、今まで会ってきた医者のステレオタイプを悉く破壊する、かなり珍しい見ないタイプの医者だ。
「毎月一つの楽しいこと、見つけるって約束だよね?」
滝本先生は、毎月一つ何かしら楽しいことを見つけて報告するという、僕にはどういった効果があるのかよく理解できない課題を僕に課していた。
前に「変な課題」と先生に言ったら、軽くげんこつを飛ばされた。僕にとっては病院でこんな変わった課題を出されるとは思ってもみなかったが、至って先生は真面目らしい。
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