第15章【イブ】

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私は今、奇妙な状況に立たされていた。 パパと一緒に亡命した先の国、イストルランド。 学生の頃は、殺戮と暴力によって他国を支配していたと教え込まれたその北東の国で、私はフェリ教の聖職者ミモザ・ヴァン・マジェスタと名を変え、オータムリーフの魔法使いという身分を隠して穏やかに暮らしている。 降雪期が訪れ、城壁の外側は高く雪が積もる時期になり。 幼馴染みであり、学生の頃に死んだと思われていた友人のサスと再会して、久し振りに浮かれた日常を過ごしていた、ある日の朝。 早朝の日課である礼拝を済ませて、礼拝堂の裏にある私の部屋でサスの朝食を作っていると、どういう訳か、スカートを泥だらけにしたこの国の王妃、エクート様が飛び込んできた。 「ミモザあぁあぁ!!」 表情とその嘆きで、何が起こったのかは大体想像がついた。 大方、服を汚してしまって誰かに叱責されたのか、または、いつものように暴れて誰かに叱責されたのか。 汚れた手で拭ったからだろう、半泣きの顔までもが黒く汚れている。 「……どうなさったんですか?」 半分黒く焦げてしまった卵焼きを皿に落としてから、私はエプロンで手を拭い、エクート様に問いかけた。
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