第15章【イブ】

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「おはぉ……ござぃ……す……」 傍らのベッドに半身を起こし、グラスにオレンジジュースを注いでいたサスが、相変わらずモゴモゴとした口振りでエクート様に挨拶をする。 怪我人専用の仕様になっているそのベッドの上には、サスが食事をしやすいように、木製の小さなテーブルが備え付けてあった。 テーブルの上には、焼いていない白パンと、歪な形に切られたトマトやレタス、トナカイ肉の燻製を炙ったもの、それからシダー特製調合の薬草ドリンクが並んでいる。 私が作ったにしては、なかなか上出来な朝食だ。 聞き取れないサスの挨拶に手を振って応じたエクート様が、跳ねるようにして私の足元までやって来た。 ハンカチを濡らして固く絞ると、私は黒く染まったエクート様の鼻の頭の汚れを拭う。 「こんなに汚してしまって。朝の礼拝が済んでから謝りに行きましょう。今日はフォルク様ですか?それとも……」 「ミモザッ!」 私の話を遮る形で、エクート様が私のローブの端を掴んだ。 潤んだ幼い瞳で、まっすぐに私を見上げる。 「お風呂、入ろう!!」 「………………え?」 何を言われたのか理解できず、私はエクート様と、背後にいるサスの顔を交互に見比べた。 パンを食べようとしていたサスは、口を開けたまま動きを止めていた。
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