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「見張りなら大丈夫だよ」
サスでは逆に心配だと思ったのか、私の意図を汲んだエクート様が言った。
「ボクもたまにお風呂に入るけど、見られたことないから心配要らないって」
動揺しっぱなしのサスにちらと目を向けてから、エクート様は私の肩を引き、そっと耳打ちする。
「それに……ミモザに聞きたいことがあるんだ……いいでしょ?」
どうやらそれが目的らしい。
いくら、本当は呪いに掛けられた成人女性だとはいえ、エクート様の容貌や仕草は子供のそれだ。
キラキラと澱みのない無垢な瞳に見つめられると、悩み事なら解決してあげたいと思ってしまう。
「……わ、分かりました、私でよろしければ」
「やった!ありがとー!」
戸惑いつつ言うと、エクート様は大袈裟に喜んだ。
「は、入る……の?」
赤面したサスが、驚いたように私を見る。
「その、わ、わかる?……ぬ、脱ぐんだよ……?」
「わ、わかってるから」
「そんなに心配なら、キミも一緒に入ったら?」
単なるジョークだろう、エクート様が笑いながら言った。
サスは酷く狼狽えはじめる。
「……っ、そんな……ッ、そもそも俺は……だし、それにエク……様だって……」
「サス、エクート様は本気じゃないからね……?」
念のため釘を刺すが、耳に入っていない様子。
「…………ふぐッ!!!」
いつもは苦いからと言って最後に飲むシダー特製薬草ドリンクを掴むと、ごぶごぶと音を立てて飲み始めてしまった。
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