第15章【イブ】

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「見張りなら大丈夫だよ」 サスでは逆に心配だと思ったのか、私の意図を汲んだエクート様が言った。 「ボクもたまにお風呂に入るけど、見られたことないから心配要らないって」 動揺しっぱなしのサスにちらと目を向けてから、エクート様は私の肩を引き、そっと耳打ちする。 「それに……ミモザに聞きたいことがあるんだ……いいでしょ?」 どうやらそれが目的らしい。 いくら、本当は呪いに掛けられた成人女性だとはいえ、エクート様の容貌や仕草は子供のそれだ。 キラキラと澱みのない無垢な瞳に見つめられると、悩み事なら解決してあげたいと思ってしまう。 「……わ、分かりました、私でよろしければ」 「やった!ありがとー!」 戸惑いつつ言うと、エクート様は大袈裟に喜んだ。 「は、入る……の?」 赤面したサスが、驚いたように私を見る。 「その、わ、わかる?……ぬ、脱ぐんだよ……?」 「わ、わかってるから」 「そんなに心配なら、キミも一緒に入ったら?」 単なるジョークだろう、エクート様が笑いながら言った。 サスは酷く狼狽えはじめる。 「……っ、そんな……ッ、そもそも俺は……だし、それにエク……様だって……」 「サス、エクート様は本気じゃないからね……?」 念のため釘を刺すが、耳に入っていない様子。 「…………ふぐッ!!!」 いつもは苦いからと言って最後に飲むシダー特製薬草ドリンクを掴むと、ごぶごぶと音を立てて飲み始めてしまった。
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