第15章【イブ】

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青空に映える巨大な白い牙を見上げていると、視界の端に映るエクート様の視線が私の方に向けられていることに気がついた。 「…………おおきいね」 エクート様が呟く。 「そうですね、レイヴンの方も、運ぶのにさぞ苦労なさったでしょう」 「…………そうじゃなくてさぁ」 ちら、 ちら、 ……と、エクート様の視線は私の胸元に向けられていた。 いつの間にか、湯に浮いた胸を見られていたらしい。 視界の効かない夜でさえ裸を見られると動揺してしまうのに、こうして白昼のもとに晒された胸を見られるなんて、相手がエクート様であってもやっぱり恥ずかしい。 「ッ!」 慌てて胸元を隠すと、湯気のたつ水飛沫が跳ね上がる。 「こ、こんなの脂肪ですし、浮いて大きく見えてるだけですから!」 「……浮いてみたいよ」 拗ねたように口をすぼめると、エクート様は自分の胸を揉み始めた。 エクート様の胸元は、やっぱり成長前の子供のそれ。 かといって子供だから仕方ない、と言えばまた別の悪口に聞こえてしまいそうで、私は口をつぐむ。 「いいなぁ、羨ましいなぁ……あとちょっとだけでも胸があれば、ボクも女として見てもらえるのかなぁ」 わざと少年の振りをしているのだと思っていた私にとってエクート様のその台詞は意外だった。 ……それとも、今回だけ?
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