内に秘めた焦がれる恋心

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 *****  知佳から連絡がきたのは聖時との電話から1週間が過ぎた頃だった。  『少しでいい、会える?』  胸ポケットで振動する携帯に気づいて、手を突っ込む。  携帯のメールを確認すると、そう書いてあった。  無責任にもドキッと心臓が跳ねた。  知佳が……  俺とのことに何かしらの答えを出したに違いない。  俺は、知佳のその言葉を素直に受け止めようと思っている。  知佳が俺との別れを選ぶなら、それはそれで仕方がない。  なんなら、知佳のためには本当はそうするべきだと今でも思ってる。  もし、知佳が2年後まで俺といることを望んだら……  その時まで知佳の願いを叶えようと思う。  俺だって、聖時の政略結婚の話がなけりゃ、別れたいとは思わなかっただろうし。  『今日は無理だ。   明日の夜ならなんとか都合をつける。   それでもいいか?』  『うん、わかった。   何か、ご飯食べに行こうよ。』  初めてのことだった。  俺が忙しいことを理解している知佳は、平日の夜にどこかへ出かけようとせがんだことはなかった。  ……最後……なのかもしれない。  『わかった。   7時には仕事を終わらせる。   レストラン予約しとくよ。』  『楽しみにしてるね』  最後くらいデートらしいデートをして、知佳を喜ばせてやりたい。  知佳の笑った顔を思い浮かべて、俺の顔も綻んだ。
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