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悠子さんはそう言って口を尖らせる。
この人……
本当にお嬢様っぽくないな!
「悠子さんはもう随分と星野の家に慣れましたね。
節子さんとも仲良しだし。」
話を誤魔化して話題を変える。
「ええ……。
皆さん、いつも笑顔で悠子のことを受け入れてくださるから……。
ここへ来ることは全然苦じゃありませんわ。」
そう言って悠子さんは綺麗な笑顔を見せる。
「煌人さん、申し訳ありませんわ。
悠子がお食事中に言ってしまいましたから、気を遣わせてしまいましたわ。」
こういうとこ。
本当にお嬢様っぽくない。
「いいえ。
美味しいからすぐに食べ終わってしまいます。」
悠子さんにそう答えて再び置いた箸を掴んだ。
そして……
悠子さんは顔を赤に染める。
その顔を……俺は最近知った。
しかも、俺が"美味しい"と言うとその可愛らしい表情を見られるらしい。
悠子さんが来てくれている日の夕食は悠子さんが作ってくれているらしく。
確かに節子さんが作るものより、全体的にきっちりと硬め。
盛り付けとか食材のバランスとか。
それでも味は文句のつけようがないほど美味しい。
聖時はこれから毎日悠子さんの食事を食べるのかと思うと、何故かチクンと痛む胸の奥。
チクン、チクンが……増えていく。
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