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向かい同士で座っていたのに、テーブルが邪魔でじれったい。
テーブルを荒く動かすともう一度カップがガシャンと大きな音をたてたが、そこには視線を向けなかった。
悠子さんの傍に寄り、迷わずに抱きかかえた。
華奢な身体の線を腕と上半身で感じ取ってしまう。
「悠子さん!
大丈夫ですか!?
とりあえず、客室のベッドへ」
応接室を抜けて、慌ててリビングへ寄る。
俺を見つけた親父が「どうした!?」驚いた声音を上げた。
「……あ…あの……だいじょうぶ……ですわ……」
悠子さんの弱々しい声音。
「急に倒れて。
とりあえず、客室へ連れて行く。」
「ああ、そうだな。
母さんに診察してもらおう。」
親父はそう言うといつものソファから立ち上がってキッチンへ向かった。
バタバタと俺の後を追いかけてきたのは節子さんだった。
「煌人さん、悠子さんは大丈夫ですか?」
「ああ、とりあえすベッドへ。」
節子さんは客室の扉を開けて、綺麗なシーツが敷いていあるベッドカバーを勢いよく剥がしてくれた。
そこへ悠子さんを下ろした。
血の気のない真っ青な顔した悠子さんを見て……。
俺の胸の奥がどうしようもなくイライラする。
何に対してこんなにイライラしてるのか
どうしてこんなに心を揺さぶられるのか……。
「……申し訳ありませんわ……」
力なく言葉にする悠子さんに「そんなこと気にしなくていい。」悠子さんの華奢な身体にシーツをかけながら答えた。
「悠子さん大丈夫なの!?」
おふくろが慌てて部屋に入ってきて、悠子さんの傍に駆け寄った。
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