許されぬ想い

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 *****  伊部の運転する車に揺られて屋敷に戻ると、ちょうどお父様もお屋敷へ戻られたところだった。 「ああ、悠子。  遅い帰りだねえ、どこへ行っていたのかね。」  疲れた顔をしたお父様はわたくしの行き先を気にしていた。 「……聖時さんのところですわ。」  その言葉にお父様は頬を緩めた。 「そうか、仲良くやってるのかね。」  全然仲良くなんてしていませんわ。  そう答えたらお父様は何て答えるのかしら? 「……お父様……」 「どうした?  深刻な顔して。  まあ、座りなさい。」  お父様はリビングのソファに座るようにわたくしを促した。  小さく頷いて、ソファに座る。  すぐにメイドがやってきて、お父様の前にお酒を置いた。  そして、私の前にはロイヤルミルクティーが静かに置かれた。  お父様ははすぐにお酒のグラスに手を伸ばして一口含んだ。 「どうかしたのかね?」  グラスを置きながらお父様がもう一度訊ねてくれた。 「ただ純粋に質問してもよろしいですの?」 「ああ、なんだね。」 「……もし、悠子が  聖時さんとの結婚は嫌だと断ったらどうなるのです?」  内心とても緊張していて、心臓のドキドキが強くなる。  それに気づかれないように平然と聞いた。 「それはもう、星野は潰れる以外に道はないね。」  ドクンッ!!  お父様の冷徹な声音。  ゾクッと背筋が凍りついた。  なんの躊躇もなく吐き出されたその言葉。 「聖時くんと喧嘩でもしたのかね?」  お父様の鋭い瞳が私の胸の奥を見透かしていくようで。 「喧嘩なんてとんでもないことですわ。  聖時さんはいつも悠子に優しくしてくださいます。  聖時さんとの結婚まで楽しみで仕方ありませんわ。」  自分の気持ちを誤魔化す様にミルクティーに手を伸ばした。
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