許されぬ想い

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【もしもし】  少し苛ついた声音だった。  「俺から連絡しますから。」と言われていた言葉を無視して、わたくしから電話をかけたことをもしかしたら怒っているのかもしれない。 「…………」  そう思うと怖くて声が出なかった。 【すみません。  今、ちょっと手が離せなくて、ゆっくりお話ししている暇がないのですが……。】  聖時さんはそう言ったのですわ。  それなら、いつものようにお出にならなければいいのに。  心がやさぐれてしまったわたくしは、そんなひどいことを思ってしまう。 「……そう…ですの……?  あの……」 【聖時くんの首筋いい匂いがする~】  突然クリアに聞こえてきた甘ったるい女性の声。  ドクンッ!!  心臓が大きく跳ねて、息が止まりそうになる。 「……え……?」  声が掠れて、その言葉さえ言葉になっていたかすらわからない。 【ガザッ!!】  耳の奥が痛くなるほどの雑音が聞こえてきて。  状況が……  全く理解出来なくて。  ちょっと手が離せなくて……  ゆっくり話せない? 【悠子さん、悪いがまた後日電話させてもらいます。】  聖時さんは最後にそう言葉を残して、一方的に電話を切った。  耳に押し当てたままの電話をおろすことも出来なくて。  ドクンドクンと脈打つ心臓の鼓動がやけに体中に大きく響いて。  だけど……。  何となく理解したのですわ。  聖時さんは……  今、女性と一緒にいらして  だから、わたくしと電話をしている暇はなくて。
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