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節子さんのその言葉に驚いて……。
それじゃあ……
今は……恋人の方は……いませんの……?
「……煌人さんのように素敵な方でも振られてしまうことがありますの?」
わたくしの問いに節子さんは「ふふ」と小さく笑った。
……おかしなことを聞いてしまったかしら?
「煌人さんは仕事を優先されますから。
星野外科病院がとても大切なんです。」
節子さんの言葉にトクントクンと心臓が鼓動を強くする。
「煌人さんが事務長にならなかったら、きっと……。
この星野病院はなくなっていたかもしれませんね。
煌人さんはとても優秀な方です。
誰もがみんな、煌人さんはお医者さんになられて、星野病院の院長になってご兄弟を引っ張っていかれるものと思っていたと思いますから。
……この節子すら、そうでしたから。」
節子さんは優しく微笑んだ。
「煌人さんが医学部には進まないと聞いた時には本当に驚きました。
でも……煌人さんらしいというか……。
あの頃の星野は右肩下がりに経営が傾いていたそうですから。
煌人さんなりに、この星野を守りたかったんだと思いますよ。」
……煌人さんの……大切な……もの……
「旦那様も言われています。
今の星野病院があるのは、煌人のおかげだ。って……。
煌人さんが危機的状況の星野外科病院を救い出されたのです。
そんなことが出来る人は……煌人さん以外にいなかったと思いますから。
まさしく、ヒーローですね。」
節子さんは自慢げに言葉にした。
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