許されぬ想い

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「気にせずに何でも言ってください。  聖時のことなら……俺にも責任がある。」  煌人さんの言葉が引っかかる。 「……責任……?」 「……そう。  あなたの婚約者は……本当だったら俺だったはずだから。」  ドクンッ!!  その言葉を……  平然と言われると……  胸の奥がギュッと締め付けられる。  どうして、わたくしのフィアンセが……煌人さんではなかったのか。  いくら自問自答したって仕方のないことを、ベッドの中で何度も考えてしまう。 「聖時より俺の方がいい……なんてことは言いませんし、俺も結婚不適合者だと思っているので……。  だからって、聖時が悠子さんに対して雑に扱っていいわけがない。  悠子さんはもう大切な星野の家族の一人ですから。」  苦しい……  苦しい、苦しい  煌人さんは……  わたくしを好きなわけではなくて。  わたくしのフィアンセなわけでもなくて。  それでも……  わたくしはこの方が好きなのですわ。  煌人さんの満面の笑みに、なんとか笑顔を返した。  ……笑顔なんて返せたのだろうか……? 「俺には何でも話してください。  出来るだけのことはしたい。」  自分の左手を胸に当てた。  唐突に昨日のことを話すことも出来なくて、遠回しに話をすることにした。 「……聖時さんに恋人がいらしたこと……ご存知です?」  それが、まさか。    あの時の聖時さんの恋人が……  まさかの結末を迎えていたことをわたくしはこんなに後になって知ったのですわ。  ……わたくしには……幸せになる権利なんてありはしないのですわ。
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