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「……そうですわね。
我儘言ってしまいましたわ。」
すんなりとわたくしの全てを受け入れてくれるわけがない。
いつもとは違う聖時さんの態度にわたくしのテンションも少なからず上がっていて……。
一気に谷底に落とされた気分でいつもより落胆が大きい。
レストランで聖時さんと食事をとっていても、聖時さんはいつもそうなのか、わたくしにだけそうなのか、わかりはしませんけど、本当に静かで。
聖時さんからわたくしに対して何か質問をされたことも特にありませんの。
わたくしが話すことに「へ~」とか「そうなんですか」と、答えられるだけ。
楽しいのか楽しくないのか……よくわからないお食事の時間を聖時さんと過ごして、また静かに車に揺られる。
聖時さんのマンションに戻って、先にシャワーをお使いになるように促した。
その間に少しだけ、聖時さんの部屋の片づけをする。
キッチンももう少し使えるように食器を整理して、明日の朝、コーヒーくらいは淹れて差し上げたい。
もともと、食器なども少なくて……。
同じ食器が二皿ずつはありますけど。
もしかすると……恋人の方と使っていた食器かもしれませんわ。
ふ~と、大きく息を吐き出して、最後のコーヒーカップを食器棚にしまった時に聖時さんがシャワーから戻って来た。
聖時さんと視線が合うと「悠子さんも……よかったら……。」聖時さんがそう声をかけてくれた。
「ええ、行ってまいりますわ。」
素直に返事をして、浴室へ向かう。
……抱かれる覚悟で来ましたから……一応お泊りセットみたいなものを持参しましたの。
何を持って行けばいいのかわからなくて、思わず伊部に相談してしまいましたの。
いきなりの質問だったからか、伊部は3秒程度動かなくなって。
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