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「とにかく……
今は仕事が忙しくてあなたに会っている暇はありません。
申し訳ありませんが、もうしばらくお待ちください。」
聖時さんは一方的に言葉を吐き捨てると、わたくしの言葉も聞かずに勝手に電話を切ったのですわ。
耳の奥に鳴り響く電子音に久しぶりに心の奥底から腹が立った。
「……なんって……
勝手な殿方なんでしょう!!
信じられませんわ!」
耳に押し当てていた携帯を握りしめて汚い言葉を吐き出した。
ふ~と、大きく息を吐きだして心を落ち着ける。
「いいですわ。
押して押して押しまくってやりますわ。」
お医者様のスケジュールなんて知りはしませんけれど、こうなったら行くしかありませんわ。
直接訪問させていただきます。
わたくしはこの訪問で……
自らの首を絞める。
わたくしの心はどんどん醜くなって
行く道すらわからなくて
暗闇で何も見えない。
ただ……
暗闇に浮かぶ月を見失わないように必死に追いかける事しか出来なくて。
この道が間違っているのか正しいのかすらわからなくて……
暗闇に浮かぶ月が……
私を救ってくれる太陽にならないかと
涙をこらえて願う……
暗闇に流れる星が
もしも本当に願いを叶えてくれるなら……
暗闇に浮かぶ月を
……太陽に変えて……
眩しいほどの……太陽に
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