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わたくしは……
聖時さんにとって一体なんなのですの!?
「聖時さんは悠子と結婚するんでしょう?」
悔しさと苦しさと苛立ちでいつもより強い声が出た。
聖時さんはわたくしにゆっくりと向き合った。
「聖時さんは轟の家と結婚するんですの?
それとも悠子と?」
こんなことを聞いて……どうするの?
そう思っているのに、もう止められなくて。
聖時さんがわたくしを愛してくだされば……
「勿論。どちらもですよ。
轟家の轟悠子さんと結婚するんです。」
「……それじゃあ…もし、悠子が……轟の娘じゃなかったら……」
───結婚なんてしようとは思わなかったのでしょう。
この言葉を……絶対に……。
───わたくしだって、聖時さんと結婚なんてしたくありませんわ。
絶対に言ってはいけない。
「何を馬鹿のことを言ってるんですか。
さあ、悠子さんもう寝ましょう。
俺も明日は早い。」
聖時さんはわたくしとどのような結婚生活を描いているのでしょうか。
声を出して大声で泣いてしまいたい。
こんな愛も夢も何もない結婚。
好きでもない方と結婚して、到底幸せになんてなれない結婚。
チラリと見上げた暗闇に星なんてほとんど見えなくて。
この暗闇の渦に……
抗うことも出来ずに呑み込まれていく。
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