強大な岩と自分勝手な月

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 職員食堂に向かうと、昼時なだけあって人でにぎわっていた。  看護服を着たグループや、医者、検査技師。  それに事務。  ここは星野の職員であれば誰でも出入りできる。  社食も俺が事務長になって、業者を変えたお陰でメニューも価格も満足いくものになった。  お弁当を持ってきている者もここで一緒に食事をする。  社食を食べているのは全体の6割。  なかなか繁盛している。 「あっ!事務長さん!  今日はカレーがおすすめだよ!」  この4月から入ってきた社食センターの新人。  よく働くと社食のおばさんたちにも可愛がられている。 「そうか……。  じゃあ、カレーにするよ。」  俺が答えると満面の笑みで「有難うございます!」って答えた。 「じゃあ、俺もカレーで。」  工藤も同じメニューを頼むと、俺の時と同じ返事を返した。  しばらく待つとカレーが運ばれてきて、それを受け取りトレイに置いた。  カレーとサラダのセット。 「困ってることはないか?」  最後に彼女にそう訊ねた。 「ないよ。  みんなよくしてくれるから。  事務長さんもお昼からお仕事頑張ってね。」 「ああ、有難う。」  彼女に答えて、その場を後にする。  レジで会計を済ませて適当に空いているテーブルへ座る。  社食は意外といい。  スタッフの雰囲気とかよくわかるし、ついでに社食のチェックも出来る。 「あっ!  事務長さん、工藤さん、お疲れ様でーす!」 「お疲れ様です!」  俺と工藤を見かけて、職種関係なく挨拶をしてくれる。 「お疲れ様です。」 「お疲れ様です」  俺が挨拶を返すと工藤も静かに挨拶を返す。  俺のお陰で工藤もすっかり有名人だ。
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