あてがわれた婚約者

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 *****  伊部の運転で聖時さんのマンションへ来ましたの。  今日は日曜日。  きっとお休みのはず。  来る前に一度電話をしてみましたけど、あの時以来聖時さんはわたくしの電話には出てはくださらない。  あの時に決めましたから……  勝手に来たのですわ。  もし文句の一つでも言われたらお父様に告げ口してやりますわ。  フィアンセのわたくしにこんな仕打ちなんですのよ。  それくらいの仕返し許されますでしょう。 「それじゃあ伊部、行って参りますわ。  聖時さんとお食事に行くかもしれませんから、その時はまた連絡しますわ。」  ミラー越しに伊部の顔に視線を向ける。  伊部もミラー越しにわたくしと視線を絡め「かしこまりました。」そう返事をした。  ベンツから優雅に降りて聖時さんの部屋へ向かう。  マンションのエントランスで部屋の番号を押してインターホンを鳴らす。    わたくしの中では二択以外ありませんでしたの。  聖時さんが出るか  または、出ないか。  だから……  まさか…… 【……はい……】  機械越しに聞こえてきた声が女性のものであるなんて  想像もしていなかった。  その戸惑った声音に…… 「あ、あの……」  わたくしまで戸惑ってしまう。 【……どちら様……でしょうか?】  向こうにはわたくしがモニター越しに見えているはず。  もしかしたら部屋を間違えたのかもしれませんわ。
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