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伊部の運転で聖時さんのマンションへ来ましたの。
今日は日曜日。
きっとお休みのはず。
来る前に一度電話をしてみましたけど、あの時以来聖時さんはわたくしの電話には出てはくださらない。
あの時に決めましたから……
勝手に来たのですわ。
もし文句の一つでも言われたらお父様に告げ口してやりますわ。
フィアンセのわたくしにこんな仕打ちなんですのよ。
それくらいの仕返し許されますでしょう。
「それじゃあ伊部、行って参りますわ。
聖時さんとお食事に行くかもしれませんから、その時はまた連絡しますわ。」
ミラー越しに伊部の顔に視線を向ける。
伊部もミラー越しにわたくしと視線を絡め「かしこまりました。」そう返事をした。
ベンツから優雅に降りて聖時さんの部屋へ向かう。
マンションのエントランスで部屋の番号を押してインターホンを鳴らす。
わたくしの中では二択以外ありませんでしたの。
聖時さんが出るか
または、出ないか。
だから……
まさか……
【……はい……】
機械越しに聞こえてきた声が女性のものであるなんて
想像もしていなかった。
その戸惑った声音に……
「あ、あの……」
わたくしまで戸惑ってしまう。
【……どちら様……でしょうか?】
向こうにはわたくしがモニター越しに見えているはず。
もしかしたら部屋を間違えたのかもしれませんわ。
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