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「……煌人くん、結婚は?」
「残念ながらそのような相手はいません。」
「……そうかね。」
知事はそれ以上俺のことを聞いてはこなかった。
知事と酒を酌み交わし、和やかに……
まあ知事のペースで時間は過ぎた。
1時間程度で工藤とその場を後にした。
さすがによく気が利く伊部さんは俺たちの為に代行を用意してくれていた。
知事のペースに呑み込まれすっかり気遣いで疲れ果てた俺と工藤。
その日は無理やり工藤を星野の自宅に泊めた。
そして……
翌日、日曜日。
運命の歯車はすでに……
動き始めていたんだ。
聖時は一向に悠子さんを受け入れない。
それどころか、異動した先でもまた女の気配。
静かにしていたのは1か月程度だった。
頼むよ聖時。
星野の為に
悠子さんの為に……
聖時の事が好きな悠子さんの為に、心を開いてくれ。
───悠子さんが悲しむことをしないでくれ
お前がその気になれば、悠子さんのことをいくらでも幸せにしてあげられる。
その立場にいるのに。
お前にその気がないのなら……
俺がその立場に……いくらでも変わってやるのに。
……俺は……
医者じゃない。
医者じゃ……ないんだ……
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