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「聖時と会う時にはいつもマンションの前で待っているんですか?
時間の待ち合わせとかは?」
冬場なんてどうしてたんだ!?
「……あの……ええ……。
聖時さんはお忙しい方ですから、メールもなかなか見てはくださいませんし。
聖時さんからの連絡を待っていたら、わたくしおばあさまになってしまいますもの。
……強引なことは承知ですけど、これくらいしないと聖時さんにはお会いできませんの……」
信じられない!?
俺の表情は愕然としているかもれない。
聖時からこんな扱いを受けて尚、たいした文句も言わず、婚約を破棄することもせず、ただひたすらに我慢しているってことなのか。
これじゃあ、いつ悠子さんに「この話はなかったことにしてください」と言われたっておかしくない。
俺だったら……
こんなこと……
膝の上で両手を握りしめた。
「あの……申し訳ありませんわ。
聖時さんがお忙しいことはわかっているつもりなのですわ。
本当にお仕事なら……いくらでも我慢しますわ。
……本当に……」
「昨夜は、マンションに戻ってこなかった。
そうゆうことですか?」
俺の冷めた声音。
そんな声悠子さんに向けたのは初めてのことで。
悠子さんはビクッと肩を震わせた。
聖時への苛立ちを悠子さんへ向けてしまった。
「申し訳ありませんわ。
こんなこと、煌人さんには関係ありませんもの。」
悠子さんの焦った声音にふ~と、大きく息を吐き出した。
「……申し訳ない。
聖時が……いつも……申し訳ない。」
悠子さんに頭を下げた。
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