まぶしい太陽

2/28
前へ
/441ページ
次へ
   聖時さんのご両親が居ぬ間に行くのは失礼と思いましたので、休日でご自宅にいらっしゃる時に伺うことにしましたの。  聖時さん本人が居ないのに、聖時さんの実家に行くわたくしは少々やりすぎかもしれません。  それでも、お義父様もお義母様も優しくわたくしを受け入れてくださいました。  それともう一人、わたくしを家の中へ招いてくれたお手伝いの節子さん。  クルクルとよく動いてお義父様やお義母様が言われることを嫌な顔ひとつせず、楽しそうに働いている。  わたくしは今日はお客様としてリビングのソファに座って、節子さんの働く姿を目で追いかけた。 「悠子さんはクッキーは好きかな?」  お義父様の言葉に節子さんから視線を向けた。 「ええ、好きですわ。  わたくしシンプルなクッキーが好きですの。  堂島ロールのモンシェールとか好物ですわ。」 「ほほう。  わたしと気が合いそうだね。」  お義父様はニコニコと微笑んで節子さんに視線を向けた。 「節子さん、アレを持ってきてくれ。」 「かしこまりました。」  節子さんは柔らかい笑顔を残して奥のキッチンへ向かった。 「特別な時にするのね。」  お義母様も嬉しそうに笑う。  いかにも仲のいい二人。  聖時さんの目元なんかはお義父様にそっくり。  口数もあまり多くなくて。  纏ってる雰囲気が聖時さんと似てる。  お義母様はお義父様とは逆でほんわりとした雰囲気で。  お義母様に似てる……?    急にあの方を思い出してしまった。
/441ページ

最初のコメントを投稿しよう!

959人が本棚に入れています
本棚に追加