まぶしい太陽

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「クッキー食べてくださいね。」  きらとさんは煌めく笑顔を残したまま、わたくしにクッキーを勧めてくれた。 「このティータイムが一段落ついたら、家の中をご案内しますよ。  聖時の部屋もせっかくだから。」  そう言って、きらとさんはわたくしからお義父様に視線を向けた。 「二人は結婚したらここに住むのか?」  お義父様は手にしていたカップをソーサーに置いた。 「ここにはたくさんの業者が出入りするからねえ。  出来ればそうしてもらいたいんだがね。  果たして知事が許してくれるだろうかね。」  お義父様は少し困った表情を見せた。 「星野家に嫁げば、わたくしはもう星野の人間ですわ。  ここに住むようにおっしゃられるのでしたら、喜んで参りますわ。」 「悠子さんは随分と覚悟が決まっているのね。」  お義母様が言葉を挟んできた。 「もちろんですわ。  わたくしには聖時さんとの結婚がすべてですから。」  はっきりと告げた。  そう、聖時さん以外の方に恋愛感情を持つことなんてもってのほか。 「そうか……。  それなら、独り身の俺はお邪魔虫だな。  二人がここへ戻ってくる前に俺はここから出ていかないといけないな。」  きらとさんはクッキーに手を伸ばしながらそう呟いた。 「まあ、それまでまだ独身でいるつもりなの?  きらくんもそろそろ結婚して欲しいものだわ。」  お義母様は少し意地悪く言った。  その言葉にきらとさんは瞳を大きく開いた。 「あはははは!  2年後はまだ35だよ。  そんなに慌てて嫁さんもらわなくてもいいだろ。」 「あら!もう35よ!!  呑気な人ね!」  お義母様は拗ねたように口を尖らせた。
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