太陽の下で

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 悠子さんをそのまま抱きかかえて立ち上がる。  このマンションの契約は俺がしたが、実際に部屋を見に来たのは工藤。  うろ覚えの間取り図では確か、寝室は奥だった気がする。  ベッドを見つけて……  皺の残るシーツが目に入る。  それが俺の心をチクンと刺した。  ここは聖時が住んでいたマンションで、ここで聖時が寝ていたんだろう。  ……だろうけど。   ソファに寝かせるよりは身体の疲れも取れるよな……  心の狭い俺の心が少しの抵抗を見せるが、そう割り切って、聖時の使っていただろうベッドに悠子さんの身体をゆっくりと沈めた。 「……んん……」  悠子さんの色っぽい声音が漏れてきて……  ああ……  マジでヤバイ。  ヤバイだろ……俺……  綺麗なワンピースの上からでもわかる胸の膨らみに……  スカートから覗く長くて綺麗な足に……  性(サガ)が……疼く。  正直……  知佳を抱いてから以降……女性は抱いていない。    だけど。  悠子さんは……  もっと大事にしたい人。   「……きらと……さん……」  急に名前を呼ばれてドキッとした。 「悠子さん!?」  名前を呼んだけど……瞳は開かなくて。    その代わりに涙が一筋流れてくる。  悠子さんがどんな夢を見ているのか、ギュッと胸の奥が苦しくなった。  スーツの上着を脱いで、悠子さんの隣に滑り込む。 「俺はここです。  あなたの傍にいる。」  悠子さんを抱きしめた。 「だから、泣かなくていい。」  そして耳元で優しく囁いた。  悠子さんはそれから朝まで目覚めることはなかった。  俺の腕の中で気持ちよさそうに眠っていて……  俺が居なくなってまた泣くんじゃないかと思うと怖くて。  朝まで悠子さんを抱きしめていた。  俺は初めて……  誰かと朝を迎えた。  
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