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「お腹空きましたね。」
そう言って笑う。
悠子さんも身体を起こしながら「あ、あの……煌人さん……」俺を呼んだ。
「ここ……」
「聖時の寝室ですよ。」
「……そう……ですの?
……あの、それで……悠子は……」
どうも、昨夜からの悠子さんが眠ってしまった後のことを気にしているようだ。
「疲れていたんじゃないですか?
俺の腕の中で眠ってしまったので、そのまま聖時のベッドに。」
そう答えながら、ベッドの隅に無造作に脱ぎ捨てたスーツの胸ポケットから携帯を取り出してディスプレイの灯りをともす。
携帯の時刻は5:37だった。
「10時間くらい眠ってたみたいだから……」
「え!?
そ、そんなにですの!?」
「ええ。
もう朝の5時半を回りましたから。」
俺の言葉にわたわたと慌て始める。
「あ、あの、本当に申し訳ありませんわ。
煌人さん、おっお仕事は大丈夫ですの?」
「あはははは!」
あまりの慌てように笑いが込み上げてきて声を出して笑う。
「まだ、大丈夫ですよ。
だけど、お腹が空きましたね。」
俺の言葉に頷くようにグウーと小さく唸りを上げる。
悠子さんは焦って両手をお腹にあてる。
「あ、あ、あの……」
「あははははは!」
グッドタイミングなお腹の虫に笑いが込み上げてきて、ベッドから腰を上げる。
「コンビニで何か買ってきますよ。」
スーツの上着に袖を通すと、「あの、悠子も……一緒に行きますわ。」そう答えて、ベッドから抜け出した。
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