まぶしい太陽

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「へえ……。」  きらとさんは聖時さんのことをたくさん話してくれる。  ……だけど……。  わたくしが知りたいのは…… 「きらとさんには……いませんの?」 「え?」 「あ、あの……  結婚したい方はいませんの?」  思い切って聞いた。  きらとさんは小さく息を吐きだした。 「いませんよ。」  きっぱり言い切るきらとさんの言葉が……  どうしようもなくわたくしの心をときめかせる。 「……いないと言うか……。  俺自身が今結婚ということに現実味がないという方がしっくりくる。」  ドクンと大きく心臓が脈打った。  それって……  どいゆう意味ですの?  結婚は今考えられないけど……。  いずれ結婚したいと思う方がいる。ってことですの?  そんなことをウダウダと考えている自分に笑いが込み上げてくる。  そんなこと  関係ないことですわ。  きらとさんにそんな方がいようがいまいが、わたくしが結婚する方は聖時さんなのですから。  きらとさんはソファから立ち上がるとわたくしの傍まできた。 「聖時は俺とは違って口数の少ない男です。  目の前のことを黙々とクリアして、確実に目標を達成する。  何を考えているのかわかりにくかもしれませんけど、悪い奴じゃない。  聖時をよろしくお願いします。」  きらとさんはそう言って頭を下げた。  弟の為に頭を下げることができる方。  わたくしと聖時さんの結婚が円満に進むために頭を下げただけかもしれない。  それでも……。
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