太陽の下で

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「あ……の……コンビニの存在は存じてますわ。  ですけど、その……今まで行く用事がありませんでしたから……」  バツが悪そうに言葉を羅列する。  ……本物のお嬢様。だな。 「これから、俺の生きてきた世界を見せていきます。  悠子さんには刺激が強いこともあるかもしれない。  ……覚悟、ありますか?」  その覚悟がなければ、俺と付き合うなんて、無理、だよな。  だけど。 「ありますわ!」  悠子さんは両手を握りしめて宣言してくれる。 「煌人さんの世界を悠子も一緒に生きていきたい。」  勢いよくそう言葉にして、ハッとした表情を見せる。  そして、一気に頬を赤に染める。 「あはははは。」  本当に可愛らしい人だ。 「……俺にも、あなたが生きてきた世界を少しづつ教えてください。」  悠子さんは上目遣いで俺を見つめる。  その潤んだ瞳が艶めいて見えて……  本当に綺麗な人。 「……ええ。  ですけど、煌人さんの世界に比べたらつまらないものですわ。」  悠子さんの言葉にフッと笑って、悠子さんの手を握る。 「コンビニは基本的に広く浅く色んな物を売っています。  専門的なものはありませんけど。主に簡単にすぐに食べることが出来る食料品。  お弁当やパン、あと飲み物も。  まあ、入ってみればわかりますよ。」  悠子さんの手を握りしめてコンビニへ入る。    悠子さんはまるで子どものようにはしゃいで、店内をくまなく歩いた。 「煌人さん!  こんな洗濯洗剤まで売っていますわ!?」  キラキラと瞳を輝かせていて、悠子さんの反応が本当に新鮮で噴き出さないようにするので精一杯。 「ほらほら、朝ご飯を買いに来たんですから。」  悠子さんを雑貨売り場から食料品売り場へ促した。 「へ~。  すごいですわね。  ロールケーキまでありますわ!」 「ククククク。  どれでも、お好きなものを。」  笑いを押し殺すのに精一杯。  俺の持っているカゴにはまだ何も入ってはいない。  
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