まぶしい太陽

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 ……聖時さんの居ないご実家。  それでもこの場にいることが楽しいと思える自分がいた。 「節子さんに伝えてくるよ。」  きらとさんはそう言うとわたくしに視線を移した。 「悠子さん、ソファに座ってください。  ああ、それか、夕食が出来るまで家の周りを散歩でもしますか?  行ったことあるかもしれませんけど、ここから聖公園近いんですよ。  今、多分、めちゃくちゃ大きいアヒル浮かんでますよ。」  きらとさんはまた小さく笑う。  そのキラキラ煌めく笑顔を……  もっと見たいと思ってしまう。 「……あひる?」 「ええ、本当にアヒルです。  見たらわかりますよ。」 「……ええ。」  きらとさんの言葉に頷いてしまった。 「あら、二人で出掛けるの?」  お義母様が奥のキッチンから姿を現して、わたくしときらとさんに問うてきた。 「ああ、悠子さんを我家の夕食に誘ったんだ。  それまで、時間があるし、聖公園にでも行ってこようかと。」 「まあ、いいわね。  今日は天気もいいし、空気がきっと気持ちいいわ。」    きらとさんは満足そうに頷いて言葉を続けた。 「節子さんに悠子さんのこと伝えてもらってもいいか?」 「いいわよ。」  お義母様も笑顔で返された。  きらとさんはわたくしに視線を向けて「それじゃあ、行きましょうか。」そう言って、玄関を促した。  
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