まぶしい太陽

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「……初めてだから……緊張しましたわ。」 「……え?」  煌人さんは驚いた表情を張り付けた。  その表情に急に恥ずかしさが増して、煌人さんから視線を反らした。 「あ、あの……。  次はどこに行きますの?」 「ククク……。」  煌人さんの押し殺した笑いが零れ落ちてきて。 「もっと沢山撮りましょう。  俺でよければカメラマンになりますから。」  煌人さんのはつらつとした優しい声音がその後に降ってくる。  それから煌人さんは何かにつけて携帯を向ける。  それがこそばゆくて。  だけど……  楽しくて……。  この公園で昨日、今日とフリーマーケットとかいう催し物が開催されているらしく、公園は沢山の人で賑わっていた。  その風景も煌人さんと一緒に眺めて。  服やアクセサリーが信じられない値段で売られていて。  わたくしの目は何度も飛び出しそうになる。  煌人さんはわたくしの反応を見て何度も笑いを押し殺す。  それを尻目にわたくしは思ったことを口にする。 「フリーマーケット。  面白いですわね。」  わたくしのその言葉に煌人さんは目をまん丸にして「あはは」と、とうとう笑い声を零した。 「気に入ってもらえてよかったです。」  そのきらきらと煌めく笑顔に釘付けになる。    傾いてきた太陽と突然吹き抜ける冷たい風。  その冷たい風に身体が震えて身を縮めた。  日が沈み始めると少し肌寒い。  外に出る予定にはしていなかったし、カーディガンを軽めに羽織ってきただけだった。 「少し冷えてきましたね。  温かいものでも飲みましょうか。」  煌人さんの言葉に頷いた。
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