まぶしい太陽

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 テイクアウトのあるコーヒーショップで煌人さんはわたくしにロイヤルミルクティを頼んでくれた。  それを公園のベンチに座って一口含む。  上品な甘さのミルクティが口内に広がって、温かさが体中に流れ込んでいく。  煌人さんは微笑んだままわたくしに視線を向けて、煌人さんもコーヒーを口に含んだ。 「悠子さん、少しだけここでお待ちください。  すぐに戻ります。」 「え?」  煌人さんはしっかりとした紙コップに入っているコーヒーをグイっと一気に飲み干すと小走りで人混みに消えていく。  ……どこへ……行かれましたの?  ポツリと一人残されて……。  こんなところに。  手には温かいミルクティ。  これがあるからそれほど寒さも気になりませんけど。  これは……どういうことですの!?  わたくしをこんなところに一人残して、どこへ行かれましたの!?  なんだか少し腹が立ってきて。  そう思いながらも、ここから帰る道もよくわからなくて。  公園を流れる人の波に視線を向ける。  わたくしの日常からすれば、ここにあるのは非日常。    ですけど……。  みんな楽しそうで。  話し声や笑い声で溢れている。  煌人さんが一緒なら……  こんな毎日も楽しいかもしれない。 「悠子さんお待たせしました。」  ボーっと喧騒を眺めているわたくしの頭上から降ってくる優しい声音と  ふいに肩に感じる柔らかな暖かさ。
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