まぶしい太陽

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   その流れるように自然な姿に思わず見惚れてしまう。  煌人さんは帰宅したときから、キリッとしたスーツ姿で、乱れがなくて。  全体的に見ても爽やかイケメン。  煌人さんはそのままリビングに向かう。  ソファに置いていたわたくしのバッグと煌人さんがくれたストールを手にした。 「お荷物はこれだけですか?」 「ええ。」 「それでは行きましょう。」  煌人さんはわたくしの荷物を持ったまま玄関へと向かう。 「ストール羽織られますか?」  わたくしに身体を向けて聞いてきた。 「そうですわね。」  煌人さんは当たり前のように手にしていたストールをわたくしの肩にかけてくれる。 「あの……有難う。」  こんなことをしてくださる殿方なんて今までいなかったから。  煌人さんが近くてドキドキとしてしまう。 「いいえ。」  煌人さんの極上に煌めく笑顔付きだった。    煌人さんの車に乗る時も、きちんとエスコートしてくださって。  助手席でもかまわないのに、煌人さんは律儀に後部座席に座せてくれた。  お陰で煌人さんが殆ど見えなくなってしまった。  ミラー越しに見える瞳と……  シフトレバーを握る大きくて骨ばった手。  転びそうになったわたくしを支えてくれた大きな手は  手を伸ばせば触れられる場所にある。  星野のご自宅から、屋敷までは30分程度だった。 「悠子さん、今日は遅くまで付き合わせてしまって申し訳ありませんでした。」  ミラー越しに交わる視線。 「いえ、一人で伺ったのに、みなさんお優しくてホッとしましたわ。」 「聖時のことで困ったことがあったらいつでも相談してください。  母も言っていたけど、いつでも来てもらって大丈夫ですし。  悠子さんはもう星野の家族同然なんですから。」  煌人さんのその言葉に……  どうしてこんなにも胸が痛むのでしょうか。  胸を痛める必要なんて全くないのに。  むしろ喜ばなければ。  わたくしは  聖時さんの妻になるのですから。  
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