事務長と医者

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「これは星野を存続させるために、必要な結婚だ。  聖時に拒否権なんてない。  わたしはどんなことがあってもこの星野を総合病院にしてみせる。  そのために、わたしに力を貸してくれないか?煌人。」  親父の瞳の奥に熱く灯る炎を見た。  親父のために俺が出来ること。  俺の夢を親父のために使う。  頭の中を駆け抜ける総合病院になるためのプラン。  俺は強く瞳を閉じた。  資金繰り、人材集め、聖時への説得……  まずは……使える秘書を雇いなおす。  瞳を開いて親父を見据える。 「親父、俺の全てをかけるよ。」  壮絶で胸が張り裂けそうな総合病院へのプロジェクトはこうして始動を開始した。  俺はこの2年……。  何度医者になればよかったと心の奥で後悔を繰り返したか。  過去には戻れない。  非情にも……  ───過去は変えられない。
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