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7年前に事務長に就任して、その2年後に俺に秘書を付けた。
あまりにも業務が多忙すぎて、自分のスケジュールの管理がままならない。
明日の予定すらわからなくて、これでは仕事にならないと思ったからだ。
とりあえす、どんな奴でもよかった。
俺のスケジュールを管理してくれる人なら。
そう思って雇った50代のおじさん。
……ダメだ。
やっぱり秘書の経験がある人物でないと。
そのおじさんは秘書の経験がないらしく、要領は悪いし、いつまで経っても俺の仕事を覚えられない。
だから、自分がするべきこともわからない。
ようは、使えない人材。
そのくせ、聖時と俺を比べる。
聖時が院長になって大丈夫か、どうして医者にならなかったのか。今からでも医学部に進んだ方がいいとかどうとか……。
余計なお世話も甚だしい!!
そんなことより仕事しろ!
仕事を覚えろ!くそジジイ!!
余計に俺の仕事は増えるし、イライラは募るし。
三か月の我慢が関の山だった。
その次に来た秘書。
秘書の経験がある30代の女性。
半年前まで俺の秘書として働いていたが……。
結構ウザい。
最低限の仕事はしてくれるから我慢して3年一緒に働いたが……。
知佳と付き合いだした頃から俺のプライベートにまで口を出すようになった。
知佳のことを悪く言ったり、前のおっさんと一緒で俺と聖時を比べる。
そのくせ聖時が帰ってくると猫なで声で寄り付くんだ。
あ~ウザい!!
キモイ!!
いい加減にしろ!!
グダグダ文句垂れるとか、言い訳するとか、女を武器にしてくるとか。
そんなの要らない!
どうでもいい!
俺が欲しいのは俺が言わなくても何でもやってのける有能な秘書。
……そんな秘書……無理か。
有能な秘書はそれ相応の会社にすでに雇われている。
工藤に出会えたのは……
きっと奇跡だ。
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