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「工藤、至急業者に電話しろ。
それとここ周囲を通行禁止に。」
「わかりました、煌人さん。」
やっぱり朝の時点でそうしていればよかった。
これ以上何かがある前に対処だな。
心の奥で呟きながら工藤からお嬢様に視線を戻した。
「お嬢さん、お怪我はありませんか?
本当に申し訳なかった。
ここの段差は至急対応させてもらいます。」
お嬢様は相変わらず目を細めたまま俺の顔を見つめていて。
「お気をつけてお帰りください。
それでは失礼させていただきます。」
軽く頭を下げて、後ろにいる黒スーツの男性にも軽く会釈をした。
驚くほどの無表情だった。
二人の横を通り過ぎて工藤と一緒に院内へ入る。
もう二度と会うことなどないだろうとこの時の俺は思っていた。
このお嬢様との出逢いが……
俺の運命を大きく狂わせて……
どうしようもなく熱く熱く……胸を焦がす。
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