一輪の真紅の薔薇

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「休みの日はしっかり休め。  そんなんじゃ、彼女作ってる暇なんてねえだろ!」 「彼女は別に……  関係ないでしょう。」  工藤は置いた箸を手にした。 「そんなの、煌人さんの方が作ってる暇なんてないじゃないですか。」 「悪いが彼女ならいる。」  反論してきた工藤にシレッと答えた。  工藤はこれでもかってくらいに瞳を大きく開いた。 「……いつ……会う暇が……あるんですか……?」  工藤の反応に「クククク」笑いが零れる。 「一か月に2回くらいしか会う暇ねえけどな。  この後一度家に帰ってから、彼女のところに行こうかと思ってるところだ。」  工藤は少し呆れた表情を見せた。 「煌人さんこそしっかり休んでくださいよ。」 「あはは。  俺は多分マグロだな。」 「マグロ?」 「そう、マグロ。  動いてなきゃ死んでしまう。  だから、俺のことは気にするな。  少々のことじゃへこたれない。」    工藤はその言葉には何も答えずにまだ残っているラーメンをすすった。  その後は特に言葉もなく静かにラーメンを食べた。  最後に水をコップの半分程度一気飲みして、両手をあわせた。 「彼女のことはさて置き。」  工藤も手を合わせた後に、そう言葉を続けた。  その言葉に視線を向ける。 「俺は好きで煌人さんの傍にいるんです。  秘書としてあなたの役に立ちたい。  俺が居ることで、煌人さんがスムーズに仕事ができて、それだけ負担が減ると思われているなら、それこそ俺をあなたの傍に置いてください。」
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