きえる

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朝、目が覚めた瞬間に、ああ、外は雪が積もっているんだな、と気がついた。 分厚いカーテンの閉まったままの部屋で、ベッドに横たわり、あたたかい羽毛布にくるまったままでも、すぐに分かる。 雪が積もると、世界から音が消える。 私は羽毛布を頭からかぶり、冷気を放つ窓ににじりよった。 窓ガラスが、きぃん、と凍っているのが分かる。 指先が一瞬にして冷えるのを感じながら、ゆっくりと窓を開けた。 その瞬間、私の視界は白で塗りつぶされた。 見渡す限りの雪、雪、雪。 どこもかしこも白。 やわらかく、どこまでも白い新雪が、世界を覆っている。
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