第3章  昔も今も(続き)

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そんな私が、彼と再会をしてから、すでに季節がひとつ変わろうとしていた。 そして今年は、どうやらしっかりとした梅雨を迎えたらしい。 六月の声を聞いて間もなく、天気は、どこかはっきりしなくなった。 木綿糸くらいだったり、絹糸くらいだったり。 雨は、降ったり止んだり。 毎日どんよりとした曇り空の下、 空気は、いつもたっぷりと湿り気を帯びている。 結局あの日、久しぶりに田村と食事をした私は、 やっぱり彼に母のことを愚痴っていた。 そして彼は、それを嫌がるでもなく、特に深刻になるでもなく、 あの調子で、やんわり包むように聞いてくれた。 それから、ひと月あまり。 しかし、あの日のお礼のやり取りの後、 短いご機嫌伺い程度のメール交換はあっても、 連絡らしい連絡は取っていない。 いや。 現実は、そんな余裕など心にも時間にもなかったというべきだ。
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