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駆け込むようにトイレで用を済ませてから台所に行くと、佐藤が親父に調味料などの在処を訊きながら食事の準備をしていた。
…
来て早々、女房気取りですか?佐藤君…
お袋が死んでから、全く家事なんぞしなかった親父も流石に少しはやるようになっていたのだから…
そこは先ず、親父がやるとこだよな?
佐藤に対して今まで感じなかった不快感でいっぱいになった俺は、不機嫌を隠そうともせずに台所に入っていった。
「おはよう…」
ローテンションで挨拶だけして、冷蔵庫からスポーツドリンクを取り出した。
「おはよう、お世話になるから台所借りてるよ」
佐藤は悪びれもせず、明るく返してきた。
親父は、と言うと
「ああ、おはよう」
とだけだ。
「いいんじゃない?別に」
何か俺、喧嘩売ってるみたいだ。
コップに注いだスポーツドリンクを飲み干すと、俺は早々に台所から出ようとした。
「飯は食わんのか?」
親父も、全く悪びれた様子が無い。
恋愛は自由かもしれないけど、ちょっとは俺の気持ちを考えろっつーの!
「行きたいとこがあるから、外で食べるわ」
別に行きたいとこなんか無かったんだけど、俺は洗顔と着替えを済ませてさっさと外出した。
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