語る佐藤

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「クリスタルってバー、知ってる?」 「いや、知らない…」 バー? バーってやっぱり、あれか? ゲイバーで、男同士が出会いを求めるハッテン場とかってやつ? 「僕の勤めてる店で、今村のお父さんはお客さん」 あー…じゃぁ、やっぱり? つか、ゲイバーなら佐藤って女装とか化粧とかしてるんだろうか? 「で───」 あんまり細かい事を考えたくなくなって、思わず早々に核心に触れてった。 「どっちから、口説いたん? つか親父も佐藤も、そっちに目覚めてんの違和感あんだけど?」 親父の事は兎も角、あれだけホモとかの扱い嫌ってた癖にと言わんばかりだ。 「口説く…って?」 佐藤の表情は、高校の頃と同じように不機嫌になっている。 というか、怒って───る? 「何それ!?」 うわ……こいつ、下手なコワモテより怖ぇぇぇ……………。 「何か、勘違いしてない?」 いやいや、勘違いも何も…。 佐藤は目を逸らして沈黙してる。 何か、気まずい…。 「もしかしてさぁ…」 はっ、はいっ!! 「僕と今村のお父さんが、同性愛な付き合いしてるとか思ってる?」 え…だから何?その刺すような視線はっ!?
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