事の始まり

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俺の脳裏に、幾つかの顔が浮かぶ。 そりゃもう、小学校の頃の同級生から大学の同期まで、わらわらと…。 全員じゃないけどパニックに陥った脳味噌は、変に回転が良かった。 小学校の時の同級生なんて、どう成長したのか知らないのも居るのにな。 しかし割と記憶に新しい高校以降の女子なら、ある程度は分かる。 分かるけど、オヤジスキーなんか見当たらない。 うちの親父は渋めのタイプだけど、渋いのが好みだった女子も思い付かない。 一体、誰なんだ? 何があって、よりによってうちの親父と恋に落ちたりしたんだ? さっぱり検討がつかずパニックで堂々巡りするばかりだから、思い切って訊いてみた。 「……………誰?」 この一言が更にパニックを起こす事になるとはつゆほども思わなかったけど、後に俺のパニックは限りなく増大していく事になった。 「さとう あき…」 は?さとう あき、だと!?
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